事故当時の車両価格の算定
1 問題の所在
事故車両が物理的に修理可能な場合でも、修理費用が事故当時の車両価格及び買替諸費用の合計額を上回る場合には、交通事故の賠償の対象は事故当時の車両価格及び買替諸費用の合計額の限度となります。
そのため、交通実務においては、事故当時の車両価格の算定が争われることが珍しくありません。
2 事故当時の車両価格の算定方法
事故当時の車両価格の算定方法について、最高裁昭和49年4月15日民集28巻3号385頁は、「いわゆる中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定めるべきである」としています。
3 事故当時の車両価格の算定資料
事故当時の車両価格の算定の参考資料については、①有限会社オートガイド発行の「自動車価格月報」(レッドブック)、②一般財団法人日本自動車査定協会発行の「中古車価格ガイドブック」(イエローブック・シルバーブック)、③全国技術アジャスター協会発行の「建設車両・特殊車両標準価格表」、④インターネット上の中古車価格情報が代表例となります。
交通事故賠償実務では、①レッドブックが参考とされることが多いものとされていますが、このレッドブックの価格掲載期間は10年間であり、また掲載車両にも限りがあるため、万能ではありません。
そのため、近年は、④インターネット上の中古車価格情報を参考にするケースも増えています。