逸失利益とは?計算方法や適正な金額か判断するポイント
1 逸失利益について
交通事故による怪我が完治せず、後遺障害が残ってしまうことが残念ながらあります。
後遺障害が残ってしまった場合に、後遺障害がなければ将来にわたって交通事故被害者の方が得られたであろう利益を逸失利益といいます。
2 後遺障害逸失利益の計算方法
一般的に後遺障害逸失利益を計算する場合には、「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)」という計算式が用いられています。
基礎収入は、原則として事故前の現実収入が基礎となります。
給与所得者の場合は、事故前年度の源泉徴収票が参考にされますし、事業所得者の場合には,事故前年度の確定申告書が参考にされます。
交通事故に遭われて後遺障害等級認定を受けた方が家事従事者の場合には、賃金センサスの女性全年齢平均の賃金額を参考に基礎収入が決められます。
労働能力喪失期間については,症状固定日から67歳までの期間とされることが多いです。
3 逸失利益の計算例
逸失利益の計算は、例えば、事故前の現実収入が600万円、後遺障害として12級6号が認定されており、症状固定日の年齢が45歳であった場合、逸失利益は以下の計算となります。
基礎収入600万円×労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間22年に対するライプニッツ係数15.9369=1338万6996円
4 適正な逸失利益か判断するポイント
逸失利益が適切か判断するためには、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間の各項目が適切なものか確認することが重要です。
例えば、基礎収入は事故前の現実収入を基礎とすることが原則ですが、逸失利益は、将来にわったて得られたであろう利益を問題とするため、将来、現実収入額以上の収入を得られる立証があれば、その金額を基礎収入とできるケースもあります。
5 逸失利益の時効は3年または5年
逸失利益について適切な賠償を受けるためには、自賠責保険で後遺障害等級認定を得ておくことが重要です。
自賠責保険への後遺障害等級認定の申請は、症状固定日から3年以内に行わないと時効となり、後遺障害等級認定の申請はできなくなってしまいますので、注意が必要です。
なお、交通事故の加害者側への逸失利益の賠償請求は、症状固定日から5年は行うことができ、5年を経過すると時効にかかります。
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