転職したばかりでも、個人再生はできますか?
1 履行可能性について
個人再生とは、裁判所の手続をとおして借金の総額を減額し、その減額された範囲で借金の返済を継続していく手続きです。
このような、個人再生の手続の生活上、個人再生が認められるには、履行可能性が認められる必要があります。
履行可能性とは、減額後の借金であれば3年以上の期間にわたって返済を継続して完済できる可能性があるかどうかということです。
2 転職が個人再生に与える影響について
履行可能性を説明するうえで、非常に重要なことが収入から積立を継続することができたという実績です。
半年、1年と同じ仕事が続き、同じような家計支出が続いて、毎月決められた金額を貯金できているという家計であれば、この先何年もの間、同じように家計収支を続けることができるだろうと認められやすくなります。
反対に、個人再生に近い時期に、転職があった場合には、たまたま個人再生を申立てたタイミングで、家計収支が問題なかったとしても、今後、また転職をしたら、収入が変わって家計収支が悪化するのではないかという疑問を裁判所にもたれやすくなってしまいます。
このように、転職は、収入が安定していないとみられる要因となり、履行可能性の説明上、不利な影響があると考えられます。
3 転職があっても個人再生が認められる場合
ただし、転職をしたら、絶対に個人再生が認められないというわけではありません。
あくまで、履行可能性の説明上、不利な影響が出る可能性があるというだけです。
したがって、転職がある場合でも、その他の要素から履行可能性の説明がつくのであれば、個人再生を問題なく進めることができる場合もあります。
例えば、転職があったとしても、国家資格などのいわゆるつぶしの効く資格を有しているような場合には、転職をしても履行可能性は否定されにくいといえます。
また転職の理由が、病気や職務上のトラブルなどの個人的なことではなく、会社側の倒産などのどうしようもない理由での転職である場合や、前職退職から新しい仕事を見つけるまでの転職活動の期間が非常に短いような場合には、履行可能性も否定されにくくなります。
アルバイトのような不安定な仕事から、公務員や正社員に転職したような場合にも、履行可能性が否定されにくいと考えられます。
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