滞納している家賃は、自己破産で免責されますか?
1 滞納していた家賃も免責の対象となります
自己破産及びそれにつづく免責の手続きで、借金の免責が認められた場合、借金の支払い義務は免除されます。
この免責の制度には、非免責債権という例外があります。
例えば、税金や社会保険料のような租税公課、悪意によって人を傷つけた場合の損害賠償債務、養育費、罰金などは非免責債権として、自己破産しても免責の対象になりません。
これに対して、一般の貸金業者からの借金や、民間企業の提供するサービスの対価の未払い分などについては、自己破産後に免責決定を受けることができれば、支払い義務が免除されます。
滞納家賃も、非免責債権ではありませんので、自己破産により免責を受けることが可能です。
2 破産手続開始決定後の家賃は免責されません
ただし、注意が必要なことは、破産手続きによって免責の対象になるのは、破産手続開始時点の債務であることです。
例えば、4月1日に破産手続開始決定が出た場合には、3月までの家賃の滞納分は免責の対象となりますが、4月分以降の家賃は、破産手続きによって免責を受ける対象とはなりません。
このように、免責の対象範囲を考えるときには、破産手続開始決定という基準時に注意をする必要がございます。
3 家賃滞納による退去等の問題
また、滞納家賃が、すでに引っ越しした過去の賃貸住宅の家賃であれば、免責により支払いをしなくなったとしても、破産者の生活に大きな影響は生じないかもしれません。
しかし、例えば、今住んでいる家の2月、3月分の家賃を滞納して、破産手続きを申し立て、4月1日に破産手続開始決定を受けたというような場合には、2月、3月分の家賃は免責対象となりますが、これを支払わなければ、大家から賃貸契約を解除されてしまい、退去を迫られる恐れがあります。
したがって、現在住んでいる家賃の滞納については、自己破産による免責を受けられるかどうかという次元ではなく、住み続けることを希望する場合の対処を別途検討するべき問題ということについても注意をしなければなりません。
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