不倫慰謝料請求を内容証明郵便でする理由
1 実務では配達証明付内容証明郵便で慰謝料請求をする
実務においては、不倫をした配偶者や不倫相手に対して不倫慰謝料を請求する際には、ほとんどの場合配達証明付内容証明郵便を用います。
法律上は、口頭やメールで不倫慰謝料を請求しても問題はありません。
しかし、これらの方法では、請求をした事実を第三者によって証明することができません。
配達証明付き内容証明郵便であれば、第三者である郵便局によって、不倫慰謝料を請求する旨を内容とする文書が、宛先となった人に配達されたという事実を証明できます。
これにより、次のようなメリットが生じます。
①相手に法的措置を検討していることが伝わり交渉で優位になる
②消滅時効の完成を猶予し訴訟提起の時間を確保できる
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 相手に法的措置を検討していることが伝わり交渉で優位になる
不倫慰謝料請求においては、まず相手に対して、不倫慰謝料を本気で請求する意思があることを明確に伝え、交渉に応じさせることが重要です。
配達証明付内容証明郵便は、いつ、誰が誰に対し、どのような内容の文書を送付したかを、郵便局が証明できる郵便です。
この形式を用いると、相手に対して訴訟提起がなされるかもしれないという印象を与えることができ、心理的な圧力をかけることができます。
また、通常の普通郵便では、請求がされていない、郵便物が届いていないといった反論の余地が残ってしまいますが、配達証明付内容証明郵便であれば、このような反論を抑止できます。
3 消滅時効の完成を猶予し訴訟提起の時間を確保できる
不倫慰謝料請求権には消滅時効が定められています。
一般的には、不貞行為および加害者を知った時から3年で消滅時効が完成します。
不倫慰謝料請求権の消滅時効が迫っている場合、配達証明付内容証明郵便による慰謝料請求通知を送ることで、催告として時効の完成を6か月間猶予することが可能となります。
催告によって時効完成が猶予されている間に訴訟を提起し、確定判決を得ることで、消滅時効の期間をリセットすることができます(時効の期間は10年に更新されます。)。
逆に、普通郵便や電話での請求では催告としての効果が認められず、時効完成を止めることができないことがあります。
不貞行為発覚から長期間が経過している場合や、相手との交渉が長引くことが予想される場合には、できるだけ早く配達証明付内容証明郵便による通知を行うと安心できます。
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