「債務整理」に関するQ&A
経営者が債務整理をした場合退任しなければいけませんか?
1 債務整理により経営者の退任が必要となる場合
「経営者が債務整理をした場合退任しなければいけませんか?」という問題を考えるうえで、重要になるのが、どのような債務整理の方法を行うかということです。
どのような債務整理を行うかによって結論は異なります。
法人と経営者(代表取締役等)の法的関係は委任契約とされます。
委任契約は、委任契約の当事者が破産手続きの開始決定を受けた場合には、終了するとされています。
そのため、自己破産の方法により債務整理をする場合には、経営者は一度、退任することになります。
ただし、自己破産の開始決定は、あくまで委任契約の終了事由であり、一度退任したあと、再度株主総会決議などで、役員として選任されれば、当該企業の経営者として復活することが可能です。
2 自己破産以外の債務整理の場合について
他方で、自己破産以外の債務整理の場合には、法律上は、経営者の立場から退任せずに債務整理が可能です。
自己破産以外の債務整理とは、具体的には個人再生や任意整理などがあります。
これらの手続では、法律上の委任契約の終了事由にならないため、経営者であり続けることが可能です。
また、手続きの性格上、会社に債務整理をすることも必須ではないため、特に会社との間でトラブルを生じることなく、債務整理をすることができる可能性がある手続きです。
ただし、例えば、個人再生の事案で、役員として選任されている法人との間で貸し借りがある場合などには、法人に対して支払いを継続できなくなってしまい、事実上の問題として役員として再度の選任をしてもらえなかったり、他の取締役等から退任を求められたりして、退任を余儀なくされる恐れはあります。
この点は、法的な問題というよりも、会社内部の関係性によるところが多いため、債務整理の手続に実際に着手する前に、ケースバイケースで見通しを立てる必要があります。
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