「自己破産」に関するお役立ち情報
自己破産の免責とは
1 自己破産と免責
返しきれない借金を背負ってしまったとき、最終的な解決策として、自己破産の手続きがあります。
一般的には、自己破産を行うと借金の返済義務がなくなると理解されている方が多いようです。
ただし、破産法上の言葉の意味では、自己破産をしただけでは借金の返済義務を免れることはできず、自己破産手続きの後に、免責という手続きを経て、初めて借金の返済義務が免除されることになります。
以下で、この自己破産と免責の関係について説明いたします。
2 自己破産手続きの概要
まず、自己破産も免責もどちらも破産法という法律に根拠を有する手続きです。
破産法2条1項1号では、「この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。」と定められています。
つまり、破産法において、自己破産はあくまで債務者の財産を清算する手続きでしかないということが書かれています。
このように、自己破産は、あくまで債務者の財産を清算する制度ですので、自己破産手続きが完了しただけでは、債務者の借金は残っている状態が続くことになります。
3 免責とはどのようなものか
自己破産をしても借金が残った状態が続くのであれば、債務者の方は永遠に債務を抱え続けることになり、生活を立て直すことができません。
そこで、破産法では債務者の生活再建の機会を確保するために、破産法248条以下に免責という制度を設けています。
免責というものがどういうものであるかは、免責が認められた場合の効果について定めた、破産法253条1項本文の「免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。」という箇所を参照するのが最適です。
「破産手続による配当」とは、債務者が配当可能な財産を所有している場合に、破産管財人を通してそれらの財産が換価され債権者に支払われる手続きのことを指します。
つまり簡単にいえば、免責が認可された場合には、破産手続き中に行われる配当で返済する分を除き、借金の返済義務を免れることができるということが書いてあります。
そして、このような免責を受けようと思った場合、破産法上、自己破産手続きが完了した後にしか、免責の審理が行われない仕組みになっているため、自己破産と免責をセットで理解して「自己破産をしたら借金が免除される」というように、一般的には理解されているといえます。
ただし、これまで述べてきたように、自己破産と免責とは法律上はあくまで別の制度ですので、自己破産をしたからといって、必ず免責が受けられるとは限りません。
破産法には、数多くの免責不許可事由や非免責債権についての定めがあり、免責を受けられないケースも十分考えられます。
自己破産をすれば借金が無くなると考えるのではなく、自己破産手続きを適切に行い免責を受けられた場合にのみ借金の返済義務が無くなると考えていただいたほうが適切です。
4 当法人にご相談ください
免責を受けられないケースもあると述べましたが、本来であれば免責を受けられないケースであっても、適切に対応することで、免責を受けられるようになる場合があります。
せっかく自己破産の申立てをしたのに、期待したような免責の効果が得られなかったという事態になることを防ぐためにも、自己破産の申立てを検討されている方は、当法人までご相談ください。
自己破産等の債務整理手続きを得意としている弁護士が、ご状況をお伺いし、適切な自己破産手続きに向けて対応させていただきます。